何かと話題の労災問題。メディア業界の過酷な労働環境にどう希望を見出すかを考える

メディア業界に希望を見出せ!

もう2ヶ月も前になりますが、電通の女性社員が自殺してしまった件が労災と認定されるという出来事がありました。

それをきっかけにして、以前にも増して人の目が企業の労働環境というところに向いていますね。しかも相当厳しい目です。

そんな時代の流れか、最近は多くの企業が超過労働で是正勧告を受けたりしていますね。

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うーん…見事に話題に上がっているのは「メディア」「エンタメ」と言われる業界ですね(笑)

もはや労基の標的になっているような節すらありますねえ…。

上記の記事からでも分かる通り、労基から是正勧告を受けたり、労災認定されるほどの過酷な環境というのは、中小企業の問題ではなくて大手企業や有名企業であってもあり得るほど実は身近な問題なんですね

そんな中でなんとなくYahoo!ニュースを見ていたら、そんな環境で働いていたスタッフの方目線で書かれた記事がトップで出てきていました。結構前の話ですが(笑)

私自身、似たようなメディア系の会社で働いていた経験がありますから、非常に興味深く読ませていただきました。

今回はこの記事を読む中で、改めて労働環境について私が考えたことを書いていこうと思います。

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どうして労働時間がバカみたいに増えるのか

辛いことを自慢したいわけでもなく誰かを批判するわけでもありませんが、私がメディア系の企業に勤めていた頃は、残業時間が200時間を超える月もありました

上に紹介した記事でも書いてありますが、電通はもちろんのことメディア業界全体で残業時間は非常に多い傾向にあります

もしかしたら、こういった労災ニュース番組の放送現場にいるスタッフの中にも残業時間が100時間を平気で超えている人がいるかもしれません。

労災認定されてもおかしくない人が、労災認定についての報道番組を放送している…なんとも皮肉な現状ですね…。

結局は下請けであるということ

では、なぜ残業時間が100時間を超えるような労働環境が蔓延しているのか、ということですね。

その原因のひとつに挙げられるのは、テレビ局、広告代理店といった大手・有名企業であっても結局はどこかの下請けであるという点です。

テレビ局は自分たちが好きな番組を制作するということはしません。必ずスポンサーが付いていますから、そのスポンサー企業の意向を十二分に意向を汲んだ内容にしなくてはいけません。

広告代理店も、その名の通り広告「代理」店なんですね。お客様の広告・宣伝活動を代理で行っているに過ぎません

締め切りギリギリまでかかって仕上げたプロジェクトを、お客様の一言で全てひっくり返されるなんてこともあります。大企業であればあるほど抱えている案件は膨大な数になりますから、そういったスケジュールの変更ひとつが及ぼす影響は非常に大きくなります。

クライアントの言うことは絶対です。どれだけ無茶な要求でも応えなければいけないという空気があります。

それに、どの業界でも競合他社がいますからね。少しでも手を抜いた仕事をすれば、その瞬間に契約を切られてしまうこともあるかもしれません。

スケジュール的には難しいけれども、仕事の質は下げるわけにはいかない…相手の要求を一回りも二回りも上回らないと…そういった状況が労働時間の増加を生んでいきます。

言うまでもなく慢性的な人手不足

誰もが思いつくかもしれませんが、原因の二つ目が慢性的な人手不足です。慢性的…つまり、常に人手が足りない状況が続いているんですね。

クリエイティブな仕事がしたいと考える人の全員が上の状況に耐えられるわけではありません。クライアント、上司、スケジュール…あらゆるプレッシャーとともに生きていける人はかなり少ないのではないでしょうか

家に帰っても休んでいる気がしない、休みの日でも電話が鳴り止まない…これが続けばだんだんと心がおかしくなっていきます。

その先に待っているのは退職ですよね。就職においてメディア業界はかなりの人気を誇っていますが、その反面離職率もかなり高いです。新卒で入社して一ヶ月で退職したという話もかなり聞きます。

人気企業である分すぐに人が補充されるかもしれませんが、それでもその人がすぐに使い物になるかどうかはわかりません。最悪は現場で教育をしつつ…なんてこともあるかもしれません。

若手層の不足によって、そのしわ寄せが残った社員に向いてしまう。これも労働時間が大きくなっていく原因になりますね。

残業時間に焦点を当てることはナンセンス

こうして労働時間がどんどんと増加していきます。そうして「残業100時間」「毎日終電帰り」「週2日は徹夜」なんて言葉が出てくるようになるわけです。

ですが、私はこの労働時間の増加が本当の悪だとは思っていません。

時代の最先端を作っている、あこがれの有名人に会える…メディア業界にはその苦労を吹き飛ばすような瞬間が必ずあります。メディアを熱望して、入社できた人であれば絶対にその喜びを味わう時があるはずなんです。

そのやりがいも感じなくなるほどのひどい状況は、なにも労働時間の長さだけが生むわけではありません。社訓に見られるような企業体制が生むわけでもありません。

若手社員が「もう耐えられない」と考える状況の多くは人間関係が生み出します。当たり前のようで周囲からは気付かれにくいんですよね、人間関係というものは。

上で紹介した記事を読み進めるほどに思うのは、この方が退職をした理由は労働時間ではなく人間関係なんだろうなあということです。

「自分の方が辛い自慢」が蔓延する職場

メディア業界に限ったことではありませんが、労働時間が長い企業にいる人間というのは、辛い自慢をしたがります

おれが若い頃はもっと遅くまで仕事していた。

自分がお前くらいの頃は休みなんてなかった。

もう一週間家に帰ってないんだよね(笑)

こういったことを平気で言うのは「休まない=偉い」「長時間労働=カッコいい」というくだらない妄想に取り憑かれた人間です。

そんな上司や先輩のもとで働きたいとは思いませんよね。

人を育てることができない職場

上記の記事を参考にしてみましょう。

  • 先輩が飲むコーヒーの銘柄を間違えると厳しく怒られる
  • 女性の先輩社員にいびられる
  • 5分以上離席すると嫌味を言われる
  • 「ゴキブリ以下」という言葉をもらう

周囲からの圧力やいじめ……この積み重ねがこの方のストレスになり、そこに長時間労働が重なって崩れていったような印象を持ちませんか?

私もメディアの会社を退職した時のきっかけは部署異動によってメンターが変わったことでした。決して悪い人ではなかったのですが、どうしても合わないところがあり、そこにアホみたいな長時間労働が重なって退職を決めました。

特に新卒で入社した場合、自分がどんな先輩に付いて働くかというのが仕事を続けていく上でかなり大きなウエイトを占めています

ですが、上記に挙げたように常に人手が不足していますから、新人を教育する余裕も、リーダーシップをとれる人財を見極める余裕もありません

クリエイティブな仕事はできるかもしれませんが、人を教育・育成する能力は限りなくゼロに近い人のほうが多い業界です。人を育成する能力がなくても、数字を出せばどこまでも偉くなれる業界です

自分で飲むコーヒーは自分で作るのが常識だし、後輩に対して「ゴキブリ以下」という言葉を吐いて良いか悪いかを議論する必要すらありません。ですが、それをわかっていない先輩・上司があまりにも多すぎます。

どうしても残業をはじめとする労働時間に目が向いてしまいがちですが、人を育てることができない風土人を大切にしない風土こそがメディア業界の本当の悪だと私は思っています。

それでもメディアは楽しい世界

そんな環境であっても、退職してからしばらくすると辞めたことを後悔することが増えていった記憶があります(笑)

TVやスクリーンの中でしか見れなかった人が目の前にいる感動、そんな人たちと一つの作品を作るために協働しているという感動が本当に大きかったからですね。

それでも私はかなり早い段階で退職してしまいましたが、いくら労働環境が厳しいといっても、誰かから聞いた情報だけで諦められるほど熱は低くないという人もいるかと思います。

それでも昨今のニュースを聞いていると不安にはなりますよね。

メディア業界へ進みたい気持ちがある、でも先輩にいびられたり、長時間労働だったりで結局早期退職するのは避けたいという人はどうやって気持ちを保っていけばいいのでしょう?

そんな環境で働いている人はどうやって希望を見出せばいいのでしょう?

私は3つポイントがあると考えています。

①うまくサボることを常に考える

まずは「どうすれば休めるか」「どうすれば明日朝一番に出社しなくていいか」を常に考えるようにしましょう!

常に人手不足の業界は、一つの仕事に打ち込んでいればいいほど余裕はありません。常に2〜3個の案件を抱えている状態が普通です。

そんな状態で全ての仕事をひとつひとつ丁寧にこなそうと思っていると時間がいくらあっても足りません。

進めても進めても終わらない仕事に押しつぶされてしまうかもしれません。

そんな時に、どうやって手を抜くか、どうやって他人に仕事を丸投げるかが非常に大切になります。自分にかかってくるプレッシャーをいかにして避けていくかは心を平穏に保つために重要です。

気を付けるべきは、自分がやらなくてはいけない仕事はきちんと遂行するということです。自分が担当しているクライアントとのやりとり、自分が途中まで進めてきたプロジェクトなど、自分しかわからない、自分がその仕事を一番良質に仕上げることができるものがあるはずです。

ですが、どんな職種であっても自分がやる必要がない雑務というのは多々あるものです。プレゼンなどの資料作成から請求書処理、電話でのアポ取り……ひとつひとつは大したことなくても、それが積み重なるとかなりの重さになります。

そういった業務を少しでも他の人に任せる、それができないようであれば、必要かどうかわからない、本当は必要ないかもしれない…といったものはとりあえず後回しして怒られたらやる…などでできるだけ身軽になることを常に意識しましょう

②支え合える同期を作る

同期というものは新卒でしかほぼ経験できません。中途採用でもよほど大量の募集をかけていれば話は別ですが、大抵の場合は一人か二人くらいしか採用しないでしょう。

そんな貴重な同期を大切にしましょう

先輩や上司よりも大事な存在になります。同じ時代に同じタイミングでその企業に入社した者同士ですから、誰よりも仕事についての話は合うはずですし、共感できるものも沢山あるはずです。

部署が違っても話をしに行けばいいんです。トイレに行くついでにふらっと立ち寄ればいいんです。

上で紹介したテレビ制作会社の方の記事には、同期とはそんな空気ではなかった、ただの競争相手であったと書いてありますが、同期同士で敵対し合う関係はそう多くはないと思います。もしそうであっても、仲良くなることが不可能なはずはありません。

忙しい中でもできるだけ同期を気にかけ、自分から積極的にはたらきかけましょう。そうすれば必ず心を開いてくれますし、悩みを共有できるようになります。

私は当時の同期と今でも付き合いがありますよ。結婚式にも出席しましたしね(笑)

③自分の原動力を具体的に持っておく

今やインターネットを使えば情報はなんでも手に入れることができます。こういったメディア業界を志望してくる学生も、今現在働いている人も、就職活動をする時にある程度調べてきていますよね。

実際に入社しないとわからないという部分はありますが、それでもこういった業界がキツいということはわかっているはずです

それでも志望したからにはそれなりの理由がありますよね。「世の中にこんな影響を与えたい」「こんな作品を作り上げたい」「こんな世界に携わりたい」といった強い思いを持っているはずです。

そうして業界に入れば、会社のことも、業界のこともなんとなくわかってきます。そうしたら、元々持っていた目標をもっともっと具体的にしていきましょう

「3年後にはこういった仕事を任せてもらえる。それまでにこんな経験をしておこう」

「数年後には絶対にこれが流行るはず。それまでに誰よりも詳しくなろう。」

「3年目の先輩はあんな仕事を任されている。なら自分は2年目にあそこのレベルまで行こう」

何年後にどんな題材を取り扱って、誰と一緒に仕事をするのか、それがどんな人に向けて発信すれば世の中に一番響くのか、できるだけ具体的に練り上げていきましょう。

辛い中でも目標を明確に持つことができれば、それがモチベーションに繋がります。途中で先が見えない、真っ暗なんてことにならないように、自分のキャリアをイメージしながら目の前の仕事に臨みましょう。

さいごに

かなり長くなってしまいました。

やっぱり、自分が少しでもかじっていた世界の話題になるとアツくなってしまいますね。

メディア業界は確かに労働環境に厳しいものがありますが、それに見合ったやりがいがあるのも事実です。まぁ、私が勤めていたのは上に挙げたような大手ではなく、下請けですからそんな偉そうなことばかり言えませんが……(笑)

面白いTV番組、面白いCM、面白い雑誌、面白い映画……エンターテインメントは生活をより楽しく、豊かにするという意味で欠かせないものですからね。

下請けの業者はもちろん、大手企業であっても十分に人財が確保できない中、更に人手が不足するのは少し寂しい気もします。そういった環境が横行している業界そのものが悪いと言えばそれまでなんですが。

エンターテインメントとしての質も、従業員の環境も、どちらもクリアできるようになることをひたすらに願うしかないですね。

これだけ多くの企業で問題が表面化してきていますから、あとは当の本人たちがどれだけ本気になれるか、ではないでしょうか。

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